1 くやしい!

 空が、まぶしかった。
 サイコーのドッジボール日和なのに、わたしは殺風景な会議室のすみっこでゴチゴチにかたまっていた。
 はじめての代表委員会だった。委員長とか、副委員長とか、書記とかを決めるらしい。
 五年や六年の委員はおしゃべりしてさわいでいたけど、わたしも、雲井光も、ピンと背すじをのばして、緊張していた。
「ほんとうのリーダーになって、楽しい学校にしていこう。」
 わたしは、海堂先生にはげまされて、十月から三月までの後期代表委員を本気でやる気になっていた。
(いじめとか、暴力とか、ぜったい、ゆるさない学校にしたいです。)
 自己紹介と決意のことばを、何度も心の中でくりかえしていた。
(はじめがかんじんだからね。五、六年生にナメられないぞ。)
 ひとりでリキんでいた。
 だけど、会議室のふんいきは、だらけた感じだった。
 六年一組の男子ふたりがとくにひどかった。長野と川島のでこぼこコンビ。おわらいのまねをして、パシパシたたきをやりあってた。ひまだなーって感じで、同級生の悪口をいったりして、ふざけまくってる。
(六年のくせに、そんなにへらへらしてていいわけ?)
 わたしは、ときどきちらちらっと六年生をにらんで、いらついてた。
 ドッジボールに夢中になってる4-1のみんなの声が、校庭からにぎやかに聞こえてきた。
 わたしの体も、力いっぱいボールを投げたくてうずうずしていた。へらへら六年生コンビに、剛速球をバンバンぶつけてやりたい。
(いつまで待たせるのさ。)
 代表委員は、四年生以上の各学級からふたりずつ。ぜんぶで十二人なんだけど、六年二組の代表委員ふたりと顧問の横澤先生が、まだ来ていない。海堂先生も後期から顧問になったはずだけど、やっぱり、まだすがたを見せていなかった。
(続)